セルフビルドで住宅ローンを利用するための方法

コラム
かれい
かれい

セルフビルドを実現するためには、そのほかの手段で家やマンションを購入する時と同様、まとまったお金が必要となります。

ひらめ
ひらめ

ハウスメーカや工務店で家を建てるよりも、セルフビルドは大幅に安い金額で家を手にすることができますが、それでも建築費は数百万円単位で用意せねばなりませんし、土地の取得費用や、設計・工事管理を依頼する建築事務所や、施工業者への支払いによっては35坪程度でも1千万円台のスケールになります。

現金で全て賄えればベターですが、住宅のためとはいえ、まとまった大金を用意するのは簡単ではない人もいると思います。

筆者*Yachi
筆者*Yachi

セルフビルドで住宅ローンを借りられるのか考えてみました。

僕もセルフビルドと住宅ローンの関係について調べましたが、相反する情報が散見しており、なかなか混乱してしまいます。自身の備忘録を兼ねて、ハウスメーカ勤務時代の経験を思い出しながら、僕の中で噛み砕いた情報を記述します。

なお、銀行ごとの判断によって異なる回答があったりしますし、僕自身住宅ローンを組んだ経験は無いので、あくまで参考としてください。

この記事でわかること
  • 住宅ローンの流れ
  • セルフビルドで住宅ローンを借りられるのか
  • セルフビルドを融資条件に当てはめる手段
  • 融資の決済のタイミングについての注意
  • 分離発注方式について

家を建てるときの住宅ローンの流れ

セルフビルドに関わらず、建築の計画は、あらかじめ自分の適正予算を把握し、資金の見通しが立って、ようやく実現性が伴います。

住宅ローンを当てにする場合、融資の目処がつかなければ、資金の調達ができませんので、夢を膨らませて立派な家を計画しても、叶えられないことになります。

通常工務店で家を購入する際は、契約は金融機関と施主の間で行いますが、ほとんどの場合工務店が間を取り持ってくれます。施主が行うことといえば、審査を申請し、いくつかの申込書に記入しするくらいで労は足ります。

借りる労力に対して、返済の苦労は計り知れないくらい大きいですが、住宅ローンを組むこと自体はそれほど難しくありません。審査申し込みには、工務店の見積書や建築工事請負契約書が必要ですが、それらは工務店が用意するものになります。

ふぐ
ふぐ

工務店で家を建てる場合は、審査さえ通れば簡単ですね。

ではセルフビルドではどうなんでしょうか。

セルフビルドの実務的な自分の立ち位置

ぺんぎん
ぺんぎん

まず、セルフビルドをする際の自分の立ち位置はどのようになるでしょうか。工務店へ発注した場合と、セルフビルドで家を建てた場合を対比してみましょう。

工務店へ発注した場合

工務店に発注することを『新築工事請負契約』といいますが、まさに言葉通り、工務店に家の新築工事の一切を請け負ってもらうこととなります。全ての業務において、工務店が間に入り調整します。

当然中間のマージンは発生しますが、煩雑な手続きは不要で、住宅の性能保証も、各業者との契約行為も工務店が請け負います。

金融機関で融資をする場合も、工務店を通して必要書類を提出できるため、双方手間なく手続きを進められます。

引用:株式会社イエヒト:イエヒトの「オープンシステム」とは

セルフビルドで建築した場合

セルフビルドの場合、各方面の調整を独力で行うことになります。

金融機関への書類提出の他にも、仕入れ先、設計事務所、施工業者との支払い条件などを決める必要があります。それらには金融機関が資金の元になりますから、自ら間に入って調整しなければなりません。

欲を言えば、好きなところから好きな資材を調達して気ままに家を建てたいところですが、融資する資金の用途が不透明であると、金融機関も融資を行えません。

セルフビルドにおける住宅ローンの問題点がそれに当たります。

引用:株式会社イエヒトHP:イエヒトの「オープンシステム」とは
ぺんぎん
ぺんぎん

セルフビルドをイメージすると、自分で家を建てる行為そのものにフォーカスしてしまいますが、こういった事務的な作業も含まれることがわかります。

包括的に家づくりの知識を蓄えないとなりませんが、お金の問題をクリアできれば、計画がグッと立てやすくなります。頑張って仕組みを理解しましょう!

セルフビルドで住宅ローンを融資してもらえるのか

前述の通り手間はかかりますが、答えはYESです。ですが、各機関セルフビルドに融資した実績は少ないでしょうし、正当な手段で家を建てるということを認知してもらう必要はあると思います。

わに
わに

審査する人も人間ですし、融資の不安要素や手間を極力与えないよう配慮しましょう。

審査の際は、担当者が審査書類を作成し、稟議の作文も行うそうです。通常の工務店契約より多くの手間をかけるセルフビルドにおいては、工務店経由でのローン審査と同等以上の情報を提供することが大事です。

また、以下の注意点があることを理解しましょう。

金融機関によって判断が異なる

そもそも融資を実行する判断は、融資先の金融機関に委ねられるという前提がつきます。家の性能や価値が担保される工務店に融資することと、個人に融資することでは金融機関が負うリスクの度合いが異なります。

全くの個人が、自分で材料を色々なところから集め、DIY的感覚で仕様を定めずに建築した場合は、まず融資の承認は難しいと考えるべきです。

反面、材料の仕入れ先をある程度定め、各所と契約を結び、家の性能基準を満たせる仕様と工期を守り建築すれば、可能性が開けるとも言えます。

家の価値を証明しなければならない

金融機関が融資を行う際には必ず、対象物件の価値を証明しなければなりません。つまり、銀行が融資を実行するにあたり、『融資したお金を回収できるか。』が条件となります。最長35年と長い期間お金を貸し続ける訳ですから、銀行としてはそれなりのリスクヘッジをしなければなりません。そのリスクヘッジの一つに抵当権というものがあります。

抵当権(テイトウケン)の意味・解説

抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りた人(債務者)が返済できなくなった場合(債務不履行)に、債権者が担保とした土地や建物をもって弁済を受ける権利のこと。抵当権を設定した不動産については、返済のためにその不動産が競売などにかけられた場合、抵当権者は他の債権者に優先して弁済が受けられる。
住宅ローンを借りる場合の抵当権設定の手続きは、債務者と債権者が結ぶ「抵当権設定契約」および、両者が共同で行う「抵当権設定登記」の2段階となる。抵当権設定登記が完了すると、登記簿には、登記の目的、登記の原因、債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者、設定者などの情報が記載される。

SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典

融資の契約を結ぶ際には、建築される土地、建物において抵当権設定契約がなされます。

これは、債務者(お金を借りる人)が万が一、返済できなくなった際に、融資対象である土地と建物を担保にとって、融資金を回収するために債権者(銀行)が設定する権利です。

ここでいう建物を担保に取る場合、『この建物にいくらの価値があるか』が銀行にとって重要な評価対象になります。せっかく抵当権で住宅を担保にとっても、価値がないのでは回収ができないからです。

その価値を証明するものが、通常は工務店の見積書や契約書となるのです。

さかな
さかな

要点を踏まえ、具体的にどのようにして計画を立てれば良いでしょうか。

シンプルに計画できる方法が一つあります。

セルフビルドでローンを借りる具体的な手段

たこ
たこ

セルフビルドで住宅ローンを組むためには、

①建物の価値の証明

②家の仕様の明確化

③仕入れ先、業者等の契約条件の決定

こういったことが必要だとわかりました。では、それらの具体的な方法を考えます。

分離発注方式という方式を採用する

住宅の建て方の契約形態の一つとしてCM方式というものがあります。建築士が、建築主の代理人(コンストラクション・マネージャー:CM)として、分離発注・設計・施工管理を建築主の代行としておこなう方法で、「分離発注方式」とも呼ばれています。

住まいの水先案内人より引用 http://www.ads-network.co.jp/gyokai-keiyaku/gyokai-zinn-01.htm

分離発注方式というのは、建築士をパートナーとしつつ、各業者との契約は個々に行うという方式です。施主手動で家づくりを進めつつ、アドバイスや設計・施工管理の請負を依頼することが一般的です。

各業者に発注する内容のうち、施工可能な工程を自身で行えれば、セルフビルドを現実的に叶えられます。こうなると細かくは『ハーフビルド』ですが、まあ良しとしましょう。

分離発注方式であれば、住宅ローンの融資実績もあるようです。

パートナーになってくれる建築士を探す

前述の分離発注方式ですが、こちらが提示する以下の条件を飲んでくれる建築士とパートナー契約を結ばなければなりません。

  • 分離発注方式のシステムを理解し、対応してくれる。
  • セルフビルドで建築することに賛同してくれる。
  • 業者の紹介を行ってくれる。

他にも、建築確認申請用図書の作成や、施工管理業務も依頼することになると思いますが、分離発注方式の条件に限らないため除外します。

建築士の探し方は2通りです。

分離発注方式に対応する建築士を仲介する会社に依頼する

分離発注の方式に対応できる建築家に絞って仲介してくれるサービスがあります。以下に僕が参考にした企業サイトのリンクを記載します。

セルフビルドの記述は特にないので、対応していただけるかは確認が必要になります…。

自分で建築士を探す

一方自分から発信して建築士を探すサービスもあるようです。

相談・依頼内容をフォームに記述し、投稿。

そのフォームの依頼内容を見て、相談・依頼を引き受けたい建築家からの返信がサイトに掲載され、メールで届きます。その後は直接連絡を取り合うことができるようです。

以下のサイトは、セルフビルドの相談実績もあるようなので、話が通りやすいかと思います。ただ、あくまで建築士がアクションを起こさないと進まない次第なので、すぐ行動に移したい時でも、時間を要する場合があります。

ぺんぎん
ぺんぎん

プロに手伝ってもらえたらだいぶ不安も解消でき、負担軽減になります。

分離発注のミソは、ローンの実績があるということですね。どのみち設計申請や工事管理で建築士へ協力を仰ぐ必要が出てくるので、こういった紹介サービスでセルフビルドに特化した建築士を探す方がベターです。

それでは、住宅ローンを検討するうえで、注意点をおさらいしておきましょう。

セルフビルドでローンを検討する際の注意点は?

家の仕様を固めてから金融機関に相談する

金融機関によっても対応が異なることが予想されますので、地元の地銀、ネットバンク、住宅金融支援機構など、まずは複数行へ問い合わせをした方が良いでしょう。

また、問い合わせる際には、構築した契約内容や、住宅の仕様をまとめ、しっかりと金融機関に理解してもらう必要があります。

契約を結ぶ仕入れ先や設計事務所と取引の条件を決める必要がある

セルフビルドは、各方面の調整を独力で行うため、金融機関の他に、仕入れ先、設計事務所、施工業者との支払い条件などを決める必要があります。金融機関が資金の元になりますから、自ら間に入って調整しなければなりません。大抵は家の完成まで支払いを待ってくれないことがほとんどです。

取引する金融機関の融資決済のタイミングに注意

前述の通り、家を建てるためには、少なくとも着工前に資金を用意しないとなりません。通常、融資実行は、自宅の完成したタイミングで行われます。そうすると着工時点ではお金がないということになりますが、それを解消する仕組みが存在します。

つなぎ融資
つなぎ融資の意味・解説

住宅ローンが実行されるのは、一般的に住宅の引き渡し時です。そのため、注文住宅のように住宅の引き渡し前に「土地の購入費」「着工金」「中間金」等の支払いが発生する場合には、住宅ローンとは別に資金を用意する必要があります。そのようなケースにおいて、住宅の引き渡し前に必要な資金を一時的に立て替えるためのローンが、つなぎ融資です。

アルヒ株式会社  住宅ローン用語集つなぎ融資とは https://www.aruhi-corp.co.jp/guide/words/detail/tsunagi_yushi/

工務店による建築の流れにおいても、着工金や、中間金など建物の完成前に支払いが生じます。つなぎ融資はそれに対応するための短期ローンの扱いであり、利息のみを支払うことがほとんどです。

完成まではただ利息を払うのみになるので、できるだけ短期で完成を目指す必要があります。セルフビルドは素人が独力で建築しますから、工期が長期化しやすくはありますので、綿密な計画を立てましょう。

着工前に決済してくれる銀行もある

金融機関によっては、建築確認書が発行された時点で決済されるところもあります。

引用:常陽銀行 Q.つなぎ融資不要ってどういうことですか? https://www.joyobank.co.jp/personal/loan/jutaku/qa/tsunagi.html

つなぎ融資のように、短期ローンの括りで支払う利息がないので、お得な感じもしますが、決済の翌月から住宅ローンの支払いが始まります。そのため、賃貸に住みながらセルフビルドをする人は、それを念頭に置いて資金ショートしないように、現金の余力を持たせる必要があります。

さかな
さかな

住宅ローンには、利息以外に諸経費も含まれるため、それを加味した総額で比較、検討しましょう。

まとめ

セルフビルドで住宅ローンを検討する際の、要点をまとめました。

  • 分離発注方式でシンプルに計画する。
  • 分離発注に対応してくれる建築士を探す。また、そのサービスがあることを理解する。
  • 家の仕様を固めておく。
  • 各所との取引条件は事前に明示する。
  • 融資決済のタイミングに注意。
筆者*Yachi
筆者*Yachi

『現金がないとセルフビルドはできない』という考えの人もいますが、しっかりと段取りをすれば、必ず実現できます!実際に叶えている人がいますから、建築資金の不安で立ち止まってしまったなら、諦めないでもう少し進んでみましょう。

セルフビルドの不安を解消し、先に進むお手伝いができればと思いますので、他の記事も是非読んでください!

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